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SIGMA 35mm F1.4 DG II Art レビュー|高い解像感と個性的なボケが魅力の一本

11 分前
読了時間: 5分
森の小道を歩く人の後ろ姿。木漏れ日と濃い影が道に伸び、周囲は緑の草木に囲まれている。
SONY α7 V|F1.4|1/6400s|ISO 100

35mmの単焦点レンズを、そろそろ一本。そう思いながらも、以前試したSONY「FE 35mm F1.4 GM」は描写があまり印象に残らず、購入を見送っていました。そんな中、2026年4月16日に発売されたのが「SIGMA 35mm F1.4 DG II | Art」です。


SIGMAのArtラインといえば高い描写性能で知られるシリーズですが、個人的にはこれまで「純正レンズの代わりに選ぶ、コストパフォーマンスの高いレンズ」という印象をどこかに持っていました。


それでも、近年のArtレンズの進化や評判が気になり、今回は思い切って購入。実際に使ってみてその印象は変わったのか、ソニーEマウント版の描写や使い勝手について紹介していきます。






外観



SIGMA 35mm F1.4 DG II Art

外観は、SIGMAのArtラインらしいシンプルで落ち着いたデザイン。無駄な装飾を抑えた鏡筒には上質感があり、撮影道具としての魅力が詰まっています。ソニーEマウント版は全長96mm、重量525g。前モデルから約20%軽量化され、全長も約14%短縮されました。F1.4の大口径レンズとしては比較的コンパクトで、実際に手に取ってみてもすっきりとしたサイズ感が際立ちます。


SIGMA 35mm F1.4 DG II Art

絞りリングや2か所に配置されたAFLボタンなど、操作系も抜かりありません。洗練された見た目ながら、撮影時の使いやすさにもしっかり配慮されています。



解像力と逆光耐性



海辺に立つ男性の後ろ姿。白いTシャツ、青空と波が広がる静かな浜辺。
SONY α7 V|F1.4|1/6400s|ISO 100
グランドピアノ内部のクローズアップ
SONY α7 V|F2.8|1/100s|ISO 100

開放F1.4から非常に高い解像感があり、ピントを合わせた部分のディテールを繊細に描き切ってくれます。35mmというほどよく広い画角でありながら、F1.4の浅い被写界深度のおかげで背景がなだらかに溶け、被写体がすっと浮かび上がるような豊かな立体感を存分に楽しめます。



夕日の海辺で、柵に座る男性がスマホを見つめるシルエット。手前に自転車が並び、静かな黄昏の空と波が広がる
SONY α7 V|F2.8|1/8000s|ISO 100
夕日の海辺で、波打ち際に立つ2人のシルエット。金色の空と静かな波、長い影が伸びる穏やかな夕景。
SONY α7 V|F2.2|1/8000s|ISO 100

また、逆光耐性の高さも優秀なポイントです。夕日を画面中央に大胆に入れたシーンでもフレアやゴーストは目立たず、コントラストをしっかり維持。強い光を生かした撮影でも、安心してカメラを向けられる一本だと感じました。



ボケ味と周辺光量落ち



木々の緑の葉が手前にぼけて映り、奥で水面が白くきらめく静かな森の風景。
SONY α7 V|F2.8|1/4000s|ISO 100

ボケ味に関しては、少し好みが分かれるかもしれません。ピント面からアウトフォーカスへのつながりは滑らかですが、開放F1.4では口径食が目立ち、画面周辺の玉ボケは楕円形を描きます。特に点光源が多い背景では、ぐるぐると渦を巻くような独特の描写が見られました。整った円形ボケを求める方には気になる部分かもしれませんが、個人的には背景に独特の動きと雰囲気が生まれる、この少しクセのある描写が気に入っています。



曇り空の港に係留された白い漁船。船体に「甚蔵丸」の文字があり、背後に緑の山と防波堤、静かな海が広がる。
SONY α7 V|F1.4|1/3200s|ISO 100

同様に、開放F1.4では周辺の光量落ちも比較的はっきりと現れます。気になる場合は現像ソフトで簡単に補正できますが、個人的にはこの光量落ちもレンズの味として好きなため、掲載している写真もあえて補正せずそのまま残しました。四隅が自然と落ちることで現場の空気感を閉じ込めやすく、どこかストーリーを感じるドラマチックな仕上がりになる。綺麗に整いすぎていないからこその魅力だと感じています。



近接撮影



緑の葉の間に、白と黄色、ピンクの小花が集まって咲く。背景はぼかされ、静かで柔らかな雰囲気。
SONY α7 V|F1.4|1/2500s|ISO 100

最短撮影距離は28cm。日常の中でふと目に留まった花にも、上から覗き込むようにぐっと寄って撮影できます。少し引いて周囲の雰囲気を写すことも、近づいて被写体を印象的に切り取ることもできる。こうした撮影の自由度の高さは、普段使いのレンズとしてうれしいポイントです。



AF性能



青い錆びた台車のそばに座る黒白の猫。荒れた屋外の作業場に、古い車輪や金属くずが散らばっている。
SONY α7 V|F1.4|1/5000s|ISO 100

AFのレスポンスはとても軽快で、街歩きスナップでも気になった瞬間をテンポよく切り取れます。人物はもちろん、素早く気まぐれに動く「猫の瞳AF」も追従。純正レンズと変わらない感覚で、ストレスなく撮影に集中できました。



暗所撮影



暗い青い水中で、白く透けたクラゲが赤い触手を垂らして漂う幻想的なシーン。
SONY α7 V|F1.4|1/400s|ISO 500

水族館のように光量が限られる場所では、F1.4という明るさが大きな武器になります。


暗い環境でもシャッタースピードを確保しやすく、ISO感度の上昇を抑えられるのは大口径レンズならではの恩恵。特にクラゲのようにゆっくり動き続ける被写体は手ブレ・被写体ブレの両方に注意が必要なため、この明るさは心強く感じました。


青い海中で、半透明のクラゲの触手が広がる幻想的な接写。ぼかしと光の筋が静かな雰囲気を出している。
SONY α7 V|F1.4|1/320s|ISO 400

開放ではピント面がシビアになるものの、光の少ない空間でその場の空気感をそのまま生かした撮影ができるのは、F1.4の醍醐味です。



総評



港の防波堤で、白い服の人物が高い電柱にもたれ空を見上げる。曇天と山並み、静かな海辺の風景。
SONY α7 V|F1.4|1/4000s|ISO 100

以前試したSONY「FE 35mm F1.4 GM」は、欠点がなさすぎて優等生すぎたのかもしれません。綺麗に写るけれどどこか描写の面白みに欠けていて、当時は購入を見送りました。


それに対して、この「SIGMA 35mm F1.4 DG II | Art」は、現代のレンズらしい高い解像力がありながら、ボケのクセや周辺光量落ちといった「写真の味」になる癖が絶妙に残されています。完璧に整いすぎていないからこそシャッターを切るのが楽しく、画面にストーリーやドラマを感じさせてくれる。



夕日の海辺で、波打つ黒い砂浜に一人立つ人物。右に沈む太陽と金色の空、静かな雰囲気。
SONY α7 V|F2.5|1/5000s|ISO 100

単なる「純正レンズの代わり」ではなく、「あえてこの描写のために選びたい」。そう心から思わせてくれる、魅力に満ちた35mm F1.4でした。



あわせて読みたい|SONY RX1R III レビュー


同じ35mmでも、以前レビューしたSONY「RX1R III」とは、撮影しているときの感覚が大きく異なりました。RX1R IIIが日常を自然体で記録していくような感覚だったのに対し、このSIGMAは何気ない光景も一枚の作品として残したくなる。そんな違いが印象的でした。


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