【実写レビュー】CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4 ―オールドレンズ入門に最適なツァイスの名玉
- Yamaki Takurou

- 8月10日
- 読了時間: 4分
更新日:11月6日

「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4」は、1970年代から90年代にかけて多くのカメラファンに愛された、オールドレンズ界の名玉。“標準レンズの帝王”とも称されるこのレンズは、オールドレンズを語るうえで外せない存在。比較的入手しやすく、初めての一本としても手に取りやすいのが魅力です。

今回使用したのは、前期型にあたるAEタイプ。絞り羽根が手裏剣のような形状をしており、後期のMMタイプとはボケの出方に違いが見られるのも特徴のひとつ。クラシックな味わいと独自の描写を持つこのレンズが、どのように写るのか試してみました。
描写の魅力について

少し暗めの室内で、最短撮影距離(45cm)まで寄っての一枚。絞り開放ではピント面に柔らかさが残りつつも、パンの香ばしい焼き目や卵のとろりとした質感をしっかり描き出しています。ボケはわずかに巻く傾向があり、オールドレンズらしい立体感と個性を感じます。


太陽をフレーム内に大胆に入れたため、フレアが現れましたが、描写が破綻することはなく、むしろ写真全体の雰囲気を高めてくれます。木漏れ日がキラキラとした玉ボケとなって広がり、画面に彩りを添えてくれました。

周辺光量落ちの補正は容易ですが、ここはレンズの個性として活かしたいところ。開放での撮影は被写体のハイライト部分に滲みも見られますが、2段ほど絞り込めばほとんど気にならない程度に収まります。コントラストは期待どおり高く、立体感のある画に仕上がりました。

2段ほど絞ったことでコントラストは引き締まりつつも、現代レンズのような硬い解像感ではなく、わずかに曖昧さを残した描写が夕陽の柔らかな光とよく馴染みます。砂浜を包む空気や遠くの景色まで、その場の空気感ごと写し込む、そんな表現力を持っています。

海辺を歩きながら、ふと目に留まった男性にフォーカス。周辺減光や収差など、レンズ特有の要素が絶妙なバランスで重なり合い、独特の立体感と奥行きを演出。このレンズでなければ得られない世界があります。

描写の検証
手裏剣ボケの特徴とF値による変化
F1.4開放とF2で比較しています。AEタイプ特有の手裏剣ボケは、F2〜F2.8で現れ、それ以降は六角形になります。比較のため強調して撮影しましたが、実写では目立つ場面は少なく、むしろ個性として楽しめます。
解像感と周辺減光の変化
解像感と周辺光量の変化を比較しました。F1.4では中心部と周辺部で光量差が大きく、周辺減光がはっきりと現れますが、F4まで絞り込むと実写ではほとんど目立たなくなり、解像感も画面全体で安定します。
中心部を等倍で見ると、開放では柔らかな写りながらも、F2からは十分にシャープ。F4以降に絞っても硬さは出ず、自然な質感を保っています。絞りによって描写が変化するのはオールドレンズならではの魅力でありつつ、癖が少なく扱いやすい印象です。
まとめ

CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4は、柔らかさとシャープさをあわせ持つ描写が魅力の一本。開放からクラシカルな味わいが楽しめ、絞ればシャープさとコントラストがしっかり得られるため、日常のスナップから風景、ポートレートまで幅広く活躍してくれます。

周辺減光や独特なボケ形状など、現代レンズにはない個性もありますが、それらは欠点ではなく、このレンズならではの表現要素。クセは控えめで扱いやすく、初めてのオールドレンズにもおすすめできる存在です。

同じく扱いやすく、夕景の描写が美しいオールドレンズとして、Canon FD レンズも過去記事で紹介しています。今回の記事とあわせてぜひチェックしてみてください。























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