Nikon Z6III 動画撮影レビュー|RAW動画の実力と動画性能
- Yamaki Takurou

- 2025年10月17日
- 読了時間: 6分
更新日:25 分前

Nikon Z6III は写真も動画も一台でしっかり両立できる、バランスの取れたハイブリッドモデルです。今回は、動画撮影の視点で感じた魅力や描写、セッティングについて詳しく紹介していきます。 まずは、夏の古民家を舞台に撮影した映像をご覧ください。
撮影機材とセッティング

今回の検証では、以下の機材を使用しました。
Nikon Z6III
NIKKOR Z 35mm f/1.2 S
NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
使用メディア

収録には CFexpress Type Bメモリーカードを使用しました。
Nikon Z6IIIでは「N-RAW」と「ProRes RAW」の2種類の形式を選択できます。今回はProRes RAWで収録しましたが、画質の差はほとんどなく、ワークフローや編集環境に合わせて選べます。
ProRes RAWはデータ量が大きいため、このカード1枚で約17分の収録が可能。長時間撮影を予定している場合は、複数枚を準備しておくと安心です。
Zレンズの魅力 ― Nikonを選ぶ最大の理由

Nikonを使う最大の理由は、やはりレンズの素晴らしさです。動画でもRAW撮影が当たり前になり、最終的な仕上がりを大きく左右するのはレンズだと感じています。その点で、Nikonのレンズは他社にはない独自の魅力を持っていると感じます。
NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

Zレンズの中でも“名玉”として評価が高い一本。ピント面の立体感が際立ち、奥行きのある描写が得られました。空気感まで伝わるような仕上がりです。

小道具に使用したフィルムカメラは「Nikon 35Ti」。逆光で撮影しましたが、ハイライト部も良好で、輪郭は柔らかな描写を見せてくれます。

フォーカスブリージングも少なく、動画撮影にも安心して使える一本。被写体を自然に描き出してくれるレンズだと感じました。
NIKKOR Z 35mm f/1.2 S

RAW動画ではレンズ補正が効かないため光学性能がそのまま出ますが、日本家屋の障子や柱といった直線的な被写体が多い撮影でも歪みが気にならず、改めて光学性能の高さを感じました。描写傾向は50mmに近く、セットで持っておきたい一本です。
NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S

風鈴を撮影したカットでは、このレンズ特有のぐるぐるボケが表れました。シャープさに加えて、オールドレンズを思わせるボケ味が独特な世界観を描き出してくれます。個人的には、現代的な写りとクラシカルな描写が混ざり合う写りが気に入っています。

このカットは手持ちで撮影しました。レンズ内手ブレ補正の効果もあって、ブレを気にせず安心して構図に集中できます。今回は中望遠レンズとして使用しましたが、マクロ域にとどまらない汎用性の高さを実感しました。
AF性能 ― SONY FX3との比較で感じた違い

Z6IIIの動画AFは多くのレビューで高評価を得ていますが、実際に使ってみると人物の瞳AFに関してはSONY FX3と比べてやや不安定に感じました。特に被写体が小さいとき、横顔・うつむき姿勢、フレーム内で被写体が動くときにピントを見失うことがあり、撮影中に不安を覚える場面がありました。

Z6IIIはフォーカスエリアや速度、追従感度など細かいカスタマイズができる点は魅力ですが、設定を追い込んでも理想的な追従性にはまだ届かない印象です。

FX3では特別な設定をしなくても安定して瞳を追従してくれる印象がありました。フォーカスをカメラに任せて構図に集中したい私にとっては、Z6IIIの動画AFは改善の余地があると感じます。
RAW収録とISO感度の特性
Z6IIIのRAW動画(N-Log時)は、ISO800とISO6400が基準感度になります。そのため、RAW動画では編集時のノイズ処理が必須となりますが、拡張設定でLo 2.0(ISO200相当)まで選べます。ハイライト側の情報はやや減少しますが、NDフィルターに頼らず撮影できる点も大きなメリットで、今回の撮影でも積極的に活用しました。
掲載画像は、ノイズ量の違いを比較するためにカメラで400%拡大表示した映像をAtomosで収録しました。拡大によって、ISO800はノイジーに見えますが、実写では十分綺麗な画質が得られます。使用感としては、Lo 1.0以降ではノイズ処理が不要なほどクリーンな映像となるので、編集時の負担を軽減できます。
ProRes RAWのメリット
今回収録に選んだProRes RAWは、各カメラメーカーが動画RAW形式として採用している一方で、Final Cut Pro以外の編集ソフトでは扱える現像パラメーターが限られており、編集の柔軟性という点では評価が分かれるフォーマットです。

ただ、その中でも個人的に大きなメリットだと感じているのが、カラースペース(Logカーブ)を自由に選択できる点です。通常、Log撮影はメーカーごとに異なり、NikonであればN-Log、SONYであればS-Logといった形になります。しかしProRes RAWでは、対応しているLogプリセットの中から他社のLogを選択することが可能です。

この仕様が便利だと感じるのは、これまで他社カメラで作成してきたLUTを、そのまま流用できる点です。今回、実際にSONYのS-Log用として作成していたLUTを、Z6IIIで撮影したProRes RAW素材に適用してみましたが、色の破綻もなく問題なく使用できました。
複数メーカーのカメラを使い分けている方にとっては、カラー管理の手間を大きく減らせる実用的なメリットだと思います。撮影時に露出をきちんと詰めておけば、現像パラメーターが少ない点も実用上大きな問題になることはなく、ワークフローを優先したRAW運用としては十分に成立していると感じます。
操作感と機動力 ― 個人クリエイターに寄り添う進化

Z6IIIを使って感じたのは、機動力の高さです。従来のZ6IIではRAW動画の収録に外部レコーダーが必須でしたが、Z6IIIは本体のみでRAW収録が可能。HDMIケーブルや外部機材を持ち運ぶ必要がなく、カメラ・レンズ・記録メディアだけで完結するシンプルなシステムを構築できます。

個人や小規模チームでの撮影にとって、この“身軽さ”は大きな武器。セッティングの自由度が増し、撮影テンポも向上しました。バッテリーに関しても、シーンごとにショートクリップを撮影をするスタイルで運用しましたが1本で1時間以上撮影できた印象で、実用的だと感じました。
まとめ ― Z6IIIは“総合力”で選ぶ一台

Nikon Z6IIIで動画撮影して強く感じたのは、総合力の高さです。
Zレンズならではの描写力と表現の豊かさ
「N-RAW」と「ProRes RAW」から選べる柔軟な収録形式
外部レコーダー不要でシンプルに完結する機動力
一方で動画AFはSONY機にまだ及ばず、瞳AFや被写体追従で不安を覚えることもありましたが、写真も動画も一台で高いレベルで楽しみたい方にとって、Z6IIIはバランスの取れたフルサイズ機として心強い選択肢になるはずです。
今回の撮影では、SONY FX3でRAW動画を撮影した時と同じロケーションを使用しています。ぜひ以下の記事と合わせてご覧ください。
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