【実写レビュー】Meyer Optik Gorlitz Biotar 58mm F1.5 II ― 現代に蘇る "ぐるぐるボケ"の魅力
- Yamaki Takurou

- 2024年11月28日
- 読了時間: 3分
更新日:7月16日

ドイツのレンズメーカー Meyer Optik Gorlitz から登場した「Biotar 58mm F1.5 II」は、1930年代に発売された「Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2」の光学設計を継承、現代の技術で復刻したモデルです。最大の特徴は「ぐるぐるボケ」と呼ばれるボケ味。背景が渦巻くようにぼけて、被写体を際立たせることで「絵画的」な雰囲気を作り、映像や写真に独自の深みを加えることができます。

この「ぐるぐるボケ」は、近年ではBiotarの設計をもとにしたロシアレンズ「Helios-44」で広く知られるようになり、「THE BATMAN」や「デューン 砂の惑星 PART2」といったハリウッド作品にも使用され、注目を集めています。私自身もこの独特なボケ味に惹かれた一人ですが、オリジナルのBiotarは経年劣化や個体差、ガタつきなどの不安もあるため、新品で購入できる「Biotar 58mm F1.5 II」を選びました。
これまでのレビューではFX3を使用してきましたが、今回は「SONY α1」で撮影しています。8Kで記録した映像を4Kにオーバーサンプリングすることで、より高い解像感や階調の豊かさ、ノイズの少なさが得られます。FX3も映像制作向けに優れた一台ですが、α1ならではの情報量や精細さが、被写体の質感をよりリアルに引き出してくれます。
ボケ描写


被写体の背景によってボケの印象が変わります。特に木々や点光源のある場所だと、ぐるぐるボケの特徴が分かりやすく現れます。開放値は従来のF2からF1.5になり、オリジナルには出せないボケ味が楽しめるのも魅力の一つです。絞りのクリック感は無いタイプなので、動画撮影にも使いやすいです。
周辺減光
開放F1.5(左)では大きく減光が見られます。F2.8(右)でも減光は残りますが、中央部の解像力は高く、人肌だともう少しソフトでも良いと感じました。


F8で全体の解像力がピークになります。8K収録でも問題ない描写力です。16:9やシネスコでは周辺部の弱さはそれほど気になりません
レンズフレア


虹色の美しいフレアが見られますが、逆光耐性も改善されており、光源を意図して入れないと現れません。
歪み

樽型の歪みが大きく出るのが分かります。動画の場合、上下はカットされてしまうので目立ちにくくなりますが、直線が多い人工物などを撮影すると気になると思います。
「Biotar 58mm F2」の再現だけではないオリジナリティ

価格を考えれば、オリジナルを購入した方が安いですが、個体差や入手の安定性、保証面でも「Biotar 58mm F1.5 II」の選択は良いと思います。現行品なので絞りやフォーカスリングの動作もスムーズで動画撮影にも使いやすく、F値や解像力の向上によって4K・8Kなど最新の映像制作にも対応する性能となりました。
個人的には、現代のレンズ性能とオールドレンズのルックを併せ持つ隠れた銘玉だと思います。スッキリとした写りに変化を求める方は是非お試しください。















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